矯正歯科の基礎知識

「矯正専門医」の資格とは

ホームページなどで「矯正専門医」という資格を目にすることが多くなり、「矯正治療は専門医の方がいいの?」というご質問が増えています。矯正専門医はどのようなものかをご説明します。

矯正専門医は何が違う?

「専門医」というのは医師が勝手に名乗ってよいものではありません。矯正に限らずどの医療分野でも、その病気に関する学会や団体から専門性や治療技術について認定を受けた資格を「専門医」といいます。
なかには、その治療を「専門的におこなっている」という理由で、専門医という表記をしているケースも見られますが、それは本来の「専門医」とは異なります。

確かな技術の証

「矯正専門医」は、矯正に関する学会・団体が定める専門医制度の審査に合格した医師に与えられる資格です。
矯正に関する治療技術や知識、経験などが厳しい基準に基づいて審査されますので、治療技術について一定の保証がされていると考えてよいでしょう。

矯正専門医の資格は、主に3種類があり、3つの学会・団体が制度を設けて専門医の審査をおこなっています。
審査の基準はそれぞれ異なりますが、いずれも「患者さんが安心して矯正治療を受けられる医師を認定すること」を目的に専門医制度を設けていますので、歯科医院を選ぶ際にこの資格を持つ医師であれば安心です。

矯正専門医は、矯正医の6%

「矯正専門医」の人数はどのくらいいるのでしょうか。
下の図は、矯正に関する歯科医の人数を図に表したものです。矯正専門医は約450人です。

歯科医師数

歯科医師は全国に約10万人いますが、そのうち矯正の学会や団体に属している医師(矯正医)は約8千人です。矯正専門医は矯正医の約6%にあたり、割合としては少ないですが、それだけ審査を通るのが難しい資格といえます。矯正の治療経験や実際の治療症例が審査されますので、実績のない医師が専門医の資格をとることはできません。

ただし、十分な技術や経験のある医師であっても専門医資格を申請しない人もいますので、専門医資格を持っていないから矯正治療の実績や経験が不足している、というわけではありません。資格を持っていることはひとつの「目安」と考えるとよいでしょう。

矯正専門医の種類

矯正歯科の分野において専門医制度を有する学会は、以下の3団体です。いずれの資格も、治療実績や技術を審査されますので、この3つのいずれかの資格を有する歯科医師であれば、安心して矯正治療を受けることができます。

日本矯正歯科学会 専門医

学会の会員数は6,000人を超え、会員数では日本最大の矯正の団体です。専門医は約300名です。

JBO認定歯科矯正専門医

日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)が設ける資格で、「100症例審査」という厳しい基準で臨床実績を重視しています。専門医は約60名です。

日本成人矯正歯科学会 専門医

成人だけでなく、成人に至るまでのあらゆる年齢層に対する矯正歯科治療を対象に専門医制度を設けています。専門医は約90名です。

(注)2014年現在では、それぞれの専門医資格は各団体が独自に設けた制度であり、統一的な制度ではありません。現在、厚労省の指導のもと3団体が協議し統一的な専門医制度の検討をおこなっている段階ですが、統一されるまでにはまだ時間がかかる見込みです。

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