矯正歯科の基礎知識

矯正の治療開始時期

矯正治療はいつ始めるべきか。早ければ早い方が良いのか、大人になってからでも大丈夫なのか、さまざまな意見があります。最良のタイミングで始めるために、治療の開始時期についてご説明いたします。

矯正を開始する時期

「矯正治療はいつ開始するのがよいですか」という質問を多く頂きます。結論から言いますと、

  • 大人の場合は、歯並びが気になった“今”が、開始するのに一番よい時期といえるでしょう。
  • 子供の場合は、歯並びによって最適な治療時期が異なります。まず気になった時点で一度専門医に診てもらい、いつ治療を開始するのがよいか詳しく話をきいてみましょう。

ということです。

矯正を開始する時期

大人の矯正の場合

大人の場合は、もう歯はすべて生え揃い、顎の成長も終わっていますので、いつ開始してもだいたい同じような治療方針になります。20代の若い頃の方が歯が動きやすく、多少移動が速いということはありますが、治療方法が異なるわけではありません。いつ治療を開始してもよいのです。
ただし、早く治療を開始すれば早くきれいな歯並びになりますので、その点では早い方がよいといえますが、しかし「治療費の準備ができてから」「仕事の支障のないときに」などの、人それぞれの事情はあると思います。ご自分の状況に合わせて開始するのがよいでしょう。

子供の矯正の場合

これに対し子供の場合は、上の図を見て頂ければわかるように、様々な種類の治療パターンがあります。
小学生から始めて小学生のうちに終わるケース、中学生になって終わるケース、中・高校生から始めるケースなどです。これらの治療に適する時期は、そのお子さんの歯並びや顎の状態の違いによって、様々です。
お子さんがどれに該当するかは、矯正専門医に詳しく診察をしてもらう必要があります。

1期治療と2期治療

乳歯と永久歯が混在する時期を「混合歯列期」といい、この時期の矯正治療を「1期治療」といいます。それに対して、永久歯が生え揃った後の治療を「2期治療」といいます。1期治療は、子供の成長期にあたり顎骨も成長途中であるため、顎骨の成長を誘導しながら矯正治療がおこなえるという特長があります。しかし1期治療はまだ歯の生え変わりの途中ですので、最終的な歯並びの調整は2期治療でおこなうケースが大半となります。

1期治療だけで終わるケース

乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(小学生の頃)に1期治療から開始し、1期治療のみで終了するケースです。軽微な症状の場合は、このように小学生だけで終了することもあります。

1期治療で開始し、2期治療で終わるケース

乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(小学生の頃)に1期治療から開始し、永久歯が生え揃った後の2期治療で終了するケースです。1期治療をおこなっている分、2期治療は負担が軽く期間も短くなります。抜歯をせずに治療ができる可能性が高まります。

永久歯列期から開始するケース

1期治療はおこなわず、2期治療でまとめておこなうケースです。歯並びを整えるためには抜歯が必須であるような症状では、敢えて1期治療はおこなわず、永久歯が生え揃うのを待って治療を開始するケースが多くなります。1期治療をおこなうメリットがない症状では、無理に早く開始する必要はないのです。

乳歯列期から開始するケース

通常は、歯並びだけの乱れの場合に乳歯列期に矯正治療を開始することはありません。しかし反対咬合や重度の噛み合わせの不正などの場合には、幼児の時期から適切な治療をおこなうことで改善する場合がありますので、そのようなケースでは乳歯列期から治療をおこないます。歯並びよりも、顎の位置関係を改善するケースが殆どです。

いずれのケースでも、まずは信頼できる矯正専門医に相談して、最適な治療時期について詳しく伺ってみることをお薦めいたします。