インプラントの基礎知識

インプラントの構造

インプラントは大きくわけて、顎に埋め込むインプラント体(フィクスチャー/歯根部)・アバットメント(土台)・上部構造体(人工歯)の3部分からなります。

インプラントの構造を知るメリット

インプラントの構造

インプラントについて患者さんが専門的な知識を持つ必要はありませんが、基本的な構造については知っておいた方がよいことがあります。

特に役立つのは、治療費を調べるときです。
インプラント「1本」として提示されている料金は、歯科医院によってインプラント(及び手術代)のみの価格であったり、人工歯まで含んだ総額であったりさまざまです。「インプラント1本●●円」の内訳までチェックして検討するようにしましょう。

※こちらのページの画像は全て、ノーベルバイオケア社より引用しています(無断転載厳禁)

インプラント体(フィクスチャー)

インプラント体(フィクスチャー)

インプラント体(フィクスチャー)は天然の歯でいう歯根に当たる部分です。
顎の骨に直接埋入して、骨と結合させます。

インプラント体の素材

現在では純チタンで作られたインプラント体が主流です。メーカーによってはチタン合金を用いているものもあります。
チタンは非常に強度があって骨との親和性も高く、金属アレルギーも起こりにくいと言われています。ただし、近年ではごく僅かですがチタンアレルギーの報告もあげられているようですので、ご心配な方は事前にアレルギーチェックを受けるとよいでしょう。

インプラント体の形状

インプラント体の形状はスクリュータイプ、シリンダータイプ、バスケットタイプなどの種類があります。
初期のインプラント治療では薄い板状(ブレードタイプ)のものが主に使用されていましたが、現在はネジのような形をしているスクリュータイプと、円筒形のシリンダータイプが主流となっています。

人工歯(上部構造体)

人工歯(上部構造体)

インプラント治療をおこなった後、外側から見える人工歯が上部構造体です。
見た目を重視したいのであれば白い素材のセラミック(オールセラミック、ジルコニアセラミック、メタルボンドセラミック、ハイブリッドセラミックなど)が適しています。
費用を押さえたい場合や強度を重視したい場合は金や銀などの金属で作られることもあります。

それぞれの素材によって、見た目が良いが費用が高額である、安価でできるが金属アレルギーのリスクがあるなどの特徴があります。ご自分の希望を担当の歯科医師に伝え、よく相談することが大切です。

「接着」か「ねじ止め」か

上部構造体を固定する方法には、接着タイプ(固定式/セメントリテンション)とねじ止めタイプ(可撤式/スクリューリテンション)があります。

接着タイプは完全に固定されるので、ずれにくいのが特徴です。しかしねじ式とは違って取り外しができないことがデメリットにもなり、トラブルの際には修理がしにくくなります。
ねじ止めタイプは、人工歯が破損した場合は取り外して修理することが可能です。こちらも取り外しができることがデメリット(使用しているうちにゆるんで来る、インプラント体と人工歯に隙間ができて汚れがたまりやすい)につながります。

土台(アバットメント)

土台(アバットメント)

インプラント体と上部構造体(人工歯)をつなぐ土台の部分がアバットメントです。アバットメントが取り外せるタイプと、インプラント体と一体となっているタイプがあります。

アバットメントにはさまざまな形状のものがあり、埋入部位や噛み合わせなどに合わせて使い分けられています。

ワンピースタイプのインプラントとツーピースタイプのインプラント

インプラント体とアバットメントが一体となっているのがワンピースタイプ、インプラント体とアバットメントが分かれているのがツーピースタイプです。
どちらも治療をおこなう場所や口の中の状態によってそれぞれの適性があり、どちらが優れているということはありません。担当の歯科医師とよく相談し、不安を解消してから治療に臨みましょう。