診察室に密着取材

子供と大人の歯のトラブル解決ドキュメント

2012年12月12日

大人の虫歯治療密着取材 (2) ~診断と治療方針の相談~

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Tさんの熊谷歯科医院2回目の診察です。

今日は、前回行った精密検査の結果を元に熊谷先生から診断を伺い、今後の治療方針の相談を行いました。

いつもの診察室ではなく、カウンセリングルームで詳しく説明して頂きます。

まず撮影したレントゲンを手元のディスプレイで見せて頂きます。
1本1本よくわかります。

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続いて、口腔内写真を壁の大きなモニターで見せて頂きます。
クッキリ精密な写真が大画面に映し出され、迫力があります。

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熊谷先生(以下Dr):「残念ながら結構虫歯がありますね。この黒く写っている部分が虫歯です。歯と歯の間に虫歯が多発していて、2006年の初診の時と較べてもだいぶ増えていますね」

Tさん:「そうですか・・・(少しショックのようです) 前の写真と較べると、本当によく分かりますね。数年でこんなに増えてしまったんですか・・」

Dr:「特に25番の歯(左上の5番目)は、神経を抜かないといけないかもしれません」
Tさん:「この歯ですか? 痛みはないんですが、神経まで行っているのですか」

Dr:「レントゲンを見る限り、7割程度の確率で抜髄になると思います」
Tさん:「うーん・・・もっと早く検診に来るべきでした・・・」(かなりショックのご様子)

<上の歯列>

上の歯列

<下の歯列>

下の歯列

レントゲンと口腔内写真から、「虫歯」と診断される歯のリストを出して頂きました。「えっ、こんなに!」と思うほど、実に10本以上の歯が治療が必要な虫歯とのこと。

●下に表にしてみました。(1~2番が前歯で8番は親知らずです)

虫歯の表2

虫歯がどの箇所にあるかも記載されています。下記のような記号で示されています。

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:mesial・・・・近心側(手前側)

:distal・・・・遠心側(奥側)

:facial・・・・唇側(外側)

:palatal・・・・口蓋側(内側)

:occlusal・・・・咬合面(上側)



T
さん
:「左上5番の歯を神経を抜かないといけないのでしたら、いっそ歯を抜いてしまって矯正治療をするという方法もあるでしょうか? 実は以前から矯正を考えていたのですが、抜歯をしないといけないと言われ、それが怖くて躊躇していたんです。でも、どうせ5番の歯の神経を抜くなら、この機会に矯正を始めようか、という気がしてきたのですが」

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Dr:「そうですね・・・Tさんの歯並びは矯正をした方が いいでしょうから、そういう方法もありますね。ただ、一般的に矯正治療の際に抜歯するのは4番の歯(第一小臼歯)ですから、5番の歯でも大丈夫かどうかは矯正の先生に伺った方がいいですね。でも5番でも大丈夫な可能性はあると思います」


T
さん
:「左上以外も、右上、左下、右下ともに4番の歯は虫歯ですから、抜いてしまえば治療する必要がないですよね!」

(※編集部注:通常の矯正治療では、歯を並べるスペースを作るために、上下左右4本の4番の歯を抜歯します。また、矯正治療は一般の歯科医院ではなく、矯正専門の医院で行います)


Dr
:「・・・まあそうですね。でも左上を5番を抜歯するなら、他も5番の方がいいという場合もあるので、よく相談した方がいいですね」

Tさん:「うーん、どうしましょう、悩みますね・・・」

Dr:「矯正の先生にまずは相談してはいかがですか。必要でしたら検査の資料をお貸しします。ただ、矯正をするならプラークコントロールは十分気を付けてくださいね。Tさんは虫歯になるリスクが高いので、矯正装置をつけている間に虫歯になる可能性があります」

clip_image025Tさん:「それは心配ですね。でも、矯正をして歯並びが良くなれば、虫歯になり難くなりますか?」

Dr:「なりますよ。今は歯と歯が“面”で接していますが、歯が綺麗に並べば“点“で接するようにな るので、汚れが付き難くなりますしね」


T
さん
:「わかりました。よく考えます。でも、それ以外の歯は治療が必要ですよね。まずどの歯から治療するのでしょうか」

Dr:「まずは1番(前歯)の間ですね。ただ、この1番にしても他の奥歯にしても、歯と歯の間に虫歯ができていますので、通常は上から削って治療する必要があります。でも矯正治療をするなら、歯の移動中に、歯と歯の間に隙間ができた時に横から治療すれば、虫歯の部分だけを最小限削って治療することもできますよ。その方が歯への負担は少なくなります」

Tさん:「なるほど、それはいいですね」(ますます矯正に心が傾くTさんです)


Tさん:「詰め物は何になりますか」

Dr:「奥歯はきちんと型を取って、インレーを作った方がいいです。レジン(白い樹脂素材)はだんだん擦り減ってきますからね。前歯の間のような小さな部分はCR(コンポジットレジン)でよいですが」

 

取材スタッフ:「写真を見ると、表面に虫歯は見えないのに、中が黒くなっていますが、どこから虫歯になっているのですか?」

Dr:「肉眼では外側は白く見えるのに、中が虫歯というのはよくあります。マイクロクラックといって、ごく僅かの歯の亀裂から虫歯になるのです。あとは、以前に治療した詰め物との隙間からなることも多いですね」

取材スタッフ:「見た目が大丈夫だからと安心できないんですね・・・」

Dr:「虫歯が多い方は、缶コーヒーなどの甘い飲み物が原因であることが多いんですよ。若い方などでも缶コーヒーが習慣になっている方などは虫歯でボロボロになるケースがあり、要注意ですよ」

取材スタッフ:「そうですか・・・」(コーヒー党のスタッフは、ややショック・・)


T
さん
:「矯正をどうするか悩みますが、よく考えてみます」

Dr:「ではまたご連絡くださいね」
Tさん:「はい、ありがとうございました」

 

●●  取材を終えて  ●●

虫歯の治療だけのはずだったのに、思わぬ展開となりました。矯正治療は別の専門の医院で行うので、まずはそちらの先生に相談することになりそうです。今日の熊谷先生のお話をよく考慮して、じっくりと検討して頂きたいと思います。

虫歯に関しては、仕事が忙しくてしばらく検診に来ない間にたくさん虫歯になってしまい、とても後悔していたTさん。「もっと早く来ていれば・・」という後悔先に立たず、ですね。

一見健康そうな歯のTさんの「実は虫歯」を大画面でアップを見せて頂き、取材スタッフもやや衝撃でした。「私も早めに歯医者に行かなければ・・・」と思った今回の取材でした。

投稿者 kanba : 2012年12月12日 11:22